2012年2月9日木曜日

有期労働契約法制と「有期」という働き方を考える(終了)

第20回社会運動ユニオニズム研究会

現在、雇用労働者の3分の1以上、約1700万人がパートや契約、嘱託、派遣などの「非正規」と呼ばれる雇用形態で働いています。そして、その多くが「有期労働契約」という労働契約の期間を定めて働いています。定年までの雇用継続が予定されている正社員とは異なり、有期労働契約は、契約期間満了後の雇用の継続(契約の更新)がなされるのか否かが長年に問題となってきました。有期契約で働く労働者の多くが、雇い止め(契約満了で雇用を打ち切ること)を恐れて、有給休暇の取得すらできない、権利主張ができない状態に置かれてきました。有期労働契約故の雇用の不安定さをどう解消し、権利を確立できるかが、課題となってきました。

有期労働契約をめぐっては、厚生労働省の有期労働契約研究会が2010年に報告を出し、労働政策審議会が審議の結果、2011年12月に建議を出しました。建議では、(1)有期労働契約の長期にわたる反復・継続への対応として、有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合には、労働者の申出により期間の定めのない労働契約に転換させる仕組みを導入すること、(2)「雇止め法理」の内容を制定法化、(3)期間の定めを理由とする不合理な処遇の解消などについて、次期通常国会における労働契約法改正をはじめとする所要の措置を講ずことが適当であるとしています。

特に無期契約への転換制度は、まったく新しい法制度を創出するものです。無期契約への転換が促進されるのか、5年を超える以前の雇い止めを誘発するのか、制度の効果を、現実の有期契約の実態を踏まえながら慎重に検討する必要があります。

研究会では、有期労働契約という働き方の実態を踏まえつつ、求められる有期労働契約法制と労働契約法改定について、議論しました。
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有期労働契約法制と「有期」という働き方を考える
日時:2012年3月17日(土)
報告(1)有期労働契約法制と労働契約法改定について(仮題):宮里邦雄さん(弁護士)
(2)有期労働契約の類型と労働契約法改定の影響について:森崎巌さん(全労働省労働組合)
共 催:一橋大学社会学研究科フェアレイバー研究教育センター
    明治大学労働教育メディア研究センター Labor Now

※宮里邦雄弁護士の報告は、『労働法律旬報』5月下旬号に掲載しました。以下からPDFファイルをダウンロードできます。

宮里邦雄「有期労働契約の法規制:有期労働契約に関する労働契約法改正について」〔『労働法律旬報』1768号(2012年5月25日発行)掲載〕